第94回全日本フィギュアスケート選手権への旅
- 4 日前
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長年の夢、全日本選手権へ
長年にわたり、全日本フィギュアスケート選手権大会を現地で観戦することが私の夢でした。
2004年以来、(コロナ禍で無観客となった2021年を除き)全ての全米選手権に足を運び、NHK杯を含む数々のグランプリシリーズ、世界選手権、そしてオリンピックも2回観戦してきました。しかし、才能あふれる選手たちが集まる全日本選手権だけは、まだ観戦したことがありませんでした。
その夢が2025年12月、ついに実現しました。
それは、日本人写真家であり、長年のスケートファンでもある、奈比川かすみさんの温かいサポートがあったからこそです。
渋谷で迎えた特別なスタート
水曜日の夕方、渋谷のリンク近くのホテルに到着。
翌木曜日には一般非公開の公式練習を見学する機会に恵まれ、日本のスケート界の層の厚さを肌で感じる貴重な体験となりました。
ショートプログラムで感じた「層の厚さ」
金曜日は男女ショートプログラム。
各カテゴリー上位30名の選手が出場し、ジュニアのトップ選手がシニアのトップ選手と同じ舞台で競う様子は、日本全体の層の厚さを象徴し、それぞれの選手が持つ強み、スタイル、個性が満員の観客の前で輝いていました。
世界中の大会を長年追ってきた私は、グランプリで活躍するトップ選手たちにはすでに馴染みがありましたが、普段あまり見る機会のないシニア選手(江川マリアなど)や、多くのジュニア選手たちの演技を楽しむことができました。
若き中田璃士の演技を堪能、世界ジュニア選手権を何度も制覇した素晴らしい島田麻央、才能と氷上での存在感が抜群の岡万佑子、アイスダンスにも出場している櫛田育良、スピンが魅力的な岡田芽依、親しみやすい山田恵、若き和田薫子、見ていて楽しく才能あふれる西野太翔、そして若き森遼人など、多くのジュニア選手たちの演技は素晴らしかったです。
世界王者ペアと男子フリー
土曜日は、世界チャンピオンのペア、三浦璃来と木原龍一組を初めて観戦する機会となりました。ショートプログラムは圧巻で観客を魅了しましたが、璃来の怪我の影響もあり、翌日のペアフリープログラムには出場できませんでした。
そして、私はその前に行われたリズムダンスを見逃してしまい、女子シングルで数々の実績を残してきた紀平梨花の華々しいデビューを見ることができなくて残念でした。
土曜夜はフリープログラムに進出した上位24名の男子選手による演技が行われました。
予想通り、注目を集め際立っていたのは、世界選手権とオリンピックで銀メダルを獲得した鍵山優真と、国際ジュニアレベルからスター性を感じさせていた佐藤駿でした。
観客は友野一希にも大きな声援を送り、会場は彼の応援タオルで埋め尽くされましたが、残念ながら彼のベストスケーティングとは言えませんでした。
三浦佳生は安定した演技で山本草太を抑え3位に入り、オリンピック出場権を獲得しました。
女子フリー、忘れられない一夜
日曜日はまさにクライマックスでした。
女子シングルは私の大好きな種目であり、一生忘れられない思い出がたくさんできました。まず、隣に座っていた若い女性観客(名前を聞けばよかったのですが、残念ながら聞きませんでした)に感謝の意を表したいと思います。
彼女は英語が堪能で、演技や得点について色々と教えてくれました。
特に渡辺倫果のファンで、2本のトリプルアクセルを成功させた素晴らしい演技を喜んでいました。
また、ショートで敗退した吉田陽菜の姿を見られなかったのは残念でしたが、金曜日の「キル・ビル」プログラムはとても楽しかったです。
彼女は運動能力が高く、人柄も魅力的な選手です。
この夜、最も感動的で心に響いた瞬間は二つありました。
その一つは、三原舞依と樋口若葉がフリープログラムを終え、喜びの涙を流しながらリンクを後にした時の観客からの大きな拍手。
今季限りでの引退を発表している二人に、長年の貢献と数々の輝かしい功績を讃え、心からの感謝の意を表しました。
そして、第3グループの最後のスケーター、青木祐奈の「ラ・ラ・ランド」は、この夜の中でも特に印象に残るプログラムの一つでした。
高い技術点と洗練された振付、音楽表現のすべてが見事に融合しており、しかも私の長年の友人であるアレックス・ジョンソンが振付に関わっていたことを大会の数週間前に知ったので、さらに感動が増しました。
最終グループはまさにオリンピック級の戦い。6人全員が心と情熱を込めて滑りました。
2つのトリプルアクセルを成功させた渡辺倫果は、ライバルたちと同等の構成点を獲得するのに少し苦労したものの、素晴らしい演技を見せました。
新進気鋭の岡万佑子は、ケイトリン・ウィーバーの革新的な振り付けで滑り、前回のグランプリファイナルで苦戦し、木曜日の練習でもまだ安定感を模索していた千葉百音は、粘り強さと集中力で美しい「ロミオとジュリエット」を滑り切りました。
そして、若き中井亜美は、この夜一番楽しい音楽プログラムを披露しました。
亜美は冒頭のトリプルアクセルでミスがあったものの、楽しく魅力的な演技を見せました。
島田麻央は4回転トウループでの転倒がありながらも素晴らしい演技で高得点を記録し、技術要素の最高得点を獲得。坂本花織に真正面から挑みました。
そして、3度の世界チャンピオンに輝いた坂本花織の輝かしいキャリアについて、これ以上何を書けばいいでしょうか。
リンク内外で、彼女はあらゆる感情を喜びにあふれた表情で表現し、私たち皆が見習うべき存在です。
他のスケーターへの彼女のサポートと応援は、誰にも負けません。
2025年3月、ボストンで開催された世界選手権での彼女の演技はほぼ完璧で、私がこれまで何度も生で観戦してきた花織の演技の中でも、最も素晴らしいものでした。
そして、最終的に世界チャンピオンとなったアリサ・リウへの彼女の長いハグとスポーツマンシップは、スケート界全体の模範となるでしょう。
最後の国内大会でも、大声援を送る観客の前で力を発揮し、フリップのエッジの判定を除けば、ほぼ完璧な演技を見せました。
花織が優勝するのを見て、私はこの夜、最高の喜びを味わいました!
最終日、エキシビションと感動のフィナーレ
月曜日は、ガラエキシビションを観戦する最後の祝賀会でした。
どのスケーターも美しく、才能にあふれ、それぞれが個性豊かで楽しいキャラクターを見せてくれました。
この週の一番の思い出は、アンコールで花織が優真をリンクに呼び入れ、二人が花織のステップシークエンスを並んで再現した場面です。
二人の日本人チャンピオンがそろった姿は、ファンにとって最高の贈り物でした。
日本という国、そしてスケートへの敬意
代々木国立体育館でのスケートイベント観戦の合間には、元競技者の田中刑事氏によるファンイベントの講演会に参加したり、渋谷で故郷の友人へのお土産を買ったり、最終日は根津美術館を訪れ、友人のかすみとピザを一緒に食べたりと、充実した時間を過ごしました。
ラーメン、天ぷら、鶏の唐揚げ、パスタなど、美味しい料理も堪能しました。
今回で5回目の日本訪問は、多くの親切な人々との出会い、東京の美しさと清潔さ、美味しい食事、そして何より、才能豊かで礼儀正しく、日々努力を重ねながら世界レベルで競い合う選手たちの姿に触れることができた素晴らしい旅となりました。
彼らは毎日何時間もかけて世界レベルの技術を磨きながら、それぞれの学校や地域で高い学業成績を維持しています。
日本スケート連盟、選手、コーチの皆様へ―世界のフィギュアスケート界への多大な貢献に心から感謝申し上げます。
文章:Robert Anderson
アメリカ コロラド州在住。
全米フィギュアスケート連盟および、その財団の理事を過去および現在も務めている。
フィギュアスケートファンであり、自身の目標はISU加盟国を代表する全ての国のスケーターを応援すること。
これまでに日本で短期間トレーニングを行なった2名のアメリカ人スケーターを経済的に支援したことがある。親日家。
翻訳:Kasumi Nabikawa
今回、友人でもあるRobertさんをライターとしてお招きしました。
長年フィギュアスケートに携わってきた彼のスケートへの愛と、日本人選手へのリスペクトの気持ちを日頃から感じており、彼に来日いただくことは私の願いでもありました。
全日本選手権は半分は記者席から、残りの半分はチケットを購入され、観客席から楽しまれていました。
試合前の練習も朝早くから熱心に、全て観ておられました。
私たち日本人には馴染みのある全日本選手権をアメリカ人はどう感じ、どう見るのか、
とても興味がありました。
彼の言葉が、全日本選手権の魅力を改めて感じるきっかけとなれば嬉しく思います。





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