中国杯 🇺🇸樋渡知樹選手独占取材
- Kasumi
- 11月4日
- 読了時間: 21分

2025ー26シーズンも始まればあっという間に折り返し、後半戦となりました。
クランベリーカップ9位、木下グループカップ3位、トリアレティカップ3位と、今シーズン着実に歩みを進めている樋渡知樹選手。
笑顔でスケートしている姿は本当に楽しそうです。
GPシリーズ中国杯はFSでパーソナルベストを更新、総合得点もパースナルベスト、4位という素晴らしい成績で終えました。
今シーズンの好調の要因や気になるあれこれについて、取材させていただきました。
・今大会を振り返っていただけますか。
そうですね、全体的にいい試合になったと思います。
決してベストではなかったとは思うんですけど、ショートに関しては。
やれることはやって、ちゃんとジャンプもこなして。
スピンやフットワークですよね、レベルがちょっと、、
ちょっとっていうかだいぶ、全部取れていないんで。笑
もちろんこの先を見ていくと、やるべきことはいっぱいあるなとは思うんですけど、でも今できるものは全部出していけたかなとは思いますし、フリーに関してはパーソナルベストっていう形にもなりました。
このまま調子を上げていくことができればなと思いつつ、でも本当に今は1試合1試合楽しく滑れてるので、それがベストかなって。
・すごく楽しそうに滑っていました。ジャンプが決まるたびに笑顔になっていたので、こちらも見ていて幸せな気持ちになりました。特にフリーはとても静寂で会場がシーンとしている雰囲気でした。
良かったです。笑
そうですね。なんか今回は僕の実力不足と言いますか。
あんまり盛り上がらなかったので、ショートに関してももうちょっと盛り上げたいなと思って、いろいろ結構がんばってはいたんですけど。笑
滑走順が影響したかも知れないですね。
でもボーヤンの後に滑るのはすごくモチベーションにもなりましたし、やっぱり自国で滑る選手であんだけいっぱいぬいぐるみを投げられて、あんだけ愛されてるスケーターがいると、何かこう、自分もがんばろうかなって、がんばろうって思いましたし。
結構わりかし、それこそ自分の演技が始まった後までざわざわしてたんですけど、そういう部分も何かその余韻というか、残っている感じで、そのままボーヤンの力がちょっともらえた気がしたので、そこに関してはすごいやりやすかったです。
フリーに関しては一番滑走。
そもそもこのグランプリの大会で最終グループに残るっていうことも、なかなかないことなので、こういう機会があって、朝練に関してもですけど、ウォームアップにしてもやっぱりみんな上手いなって思います。
本当に特にトップ3の選手に関してはですね、今回結構ベストを尽くしたつもりで、いける、いける、いける!がんばった、がんばったって思えるものだったんですけど、あの3人には無理や、勝たれへん!っていう、、無理、無理、無理、無理っていう、、
自分の演技が終わった後も何か、いやまあ頑張ったけどさ、無理や台(表彰台)は無理やわーと思いながらいました。
そこに関してはそういう選手たちと一緒に滑ることができて、一緒に試合ができて、駿くんの4Lzもですし、シャイドロフの3A+1Eu+4Sですか、ああいうのを見て、練習でも結構、モチベになりますし、そういうエネルギーとかを全部自分で吸収して滑れたんじゃないかなって思います。
・フリーの最初に4T+3T、そして4Tも決まりました。観客の皆さんの反応は静かでしたね。
そうですね。結構シーンとしていましたね。
でもフリーに関しては落ち着いた曲なので、あんまり自分では気にならず滑ることができました。
フリーのCreepはミーシャが選んでくれて、ショートに関しても、キャシーが選んでくれました。
僕は曲を知らないので、本当に曲選びができないんです。
普段から聞くようにはしていますが。
でも、なんか違う、なんか違う、なんか違うなっていう曲が多いし、あと僕の好きな曲のジャンルとかがアニソンだったりとか、そういう系が多いので、そして洋楽も好きっちゃ好きですけど、自分が歌える、そのカラオケとかが好きなんで、自分が歌えるような曲ばっかり探したりして、、
スケートで使える曲っていうのをあまりよく知らないので、キャシーやミーシャが選んでくれて、今回のこの2つの曲はすごく気に入って演技できてるので、ありがたいです。
・今シーズンの2つの曲とプログラムはとても素敵だと思います。
そして、このCreepの歌詞が結構悲しい歌詞というか、樋渡選手は自己肯定感が高いけれど、この歌詞の主人公はそれとは正反対というか。メロディーはとても綺麗なのですが。
ありがとうございます。
結構言われるんですけど、そんなに自己肯定が高い方ではないと自分では思いますけど。笑
特に今、自分が25歳っていう年齢になって、来年26歳になるっていう年齢で、自分の周りの友達とか、それこそスケートを辞めていった人たちもそうなんですけど、結局、普通ではないじゃないですか、やっぱりこの年齢までスケートやってたりとかいうのは。
ある意味、こういう趣味とかを仕事にしたりっていう、スポーツ選手とかってやっぱり普通ではないので。
Creepっていうその曲の歌詞的にも”なんか自分は変な奴で、、”っていうどっちかっていうと恋愛の要素が強い歌詞だとは思うんですけど、他の人と違うっていう部分は結構自分でも自覚してるので、そういう部分でやっぱり自分に当てはまるものが多い曲かなと思います。
・それは特別な人だという意味でもあると思います。
特別っていうか、やっぱり違いますよね。
普通に社会人としてしっかり働いて、ちゃんとお金を自分で稼いでいる人たちと比べると。
例えば、自分のことを全く知らない人とかに”何してんの?”って言われた時とか、
”アスリートです”みたいな。
”どのぐらいそれで稼げんの?”
いやあ、稼いだ分全部、スケートに消えるんで別に数稼いでないよなっていう部分もあるんで(笑)、なんか悪く言えば無職みたいなもんでもあるんで。
それを自分がそうやって続けられる環境をつくってくれる親や、アメリカのスケート連盟やいろんなコーチたちもそうですし、みんなに感謝の気持ちがあって、こうやって滑らせていただいてるんで、自分のそういう何か他と違うところを、今回フリーの曲にしていることは良かったと思います。
・今回はデイモンコーチ(以前、樋渡選手が師事・現在アンバー選手のコーチ)も来ていますが、何かお話はされましたか?
コーチによっては辞めた後、疎遠になったり、お互いにちょっとぎこちなくなったりとか、そういうこともあるんです。けどデイモンはそういうことは全然なくって、本当に普通に挨拶して普通にお話しします。
今回も終わった後、メッセージでおめでとうを言ってくれました。
僕が去年の試合で悪かった時とか、”また次、がんばってね”とか言うてくれたりもするんで、コーチとしてはそれこそもう、今は道を隔てた感じではあるんですけど、年齢差はありますが1人の友人として、自分が何かあった時に相談できそうな、心を許せる人の1人です。
接していてすごく楽ですし、身近にいてこういう試合とかで会うと安心する、落ち着く人の1人だと感じています。
・今回はショートの6分間練習で名前を間違えてコールされました。
違う、違う、違う、違うっていう。笑
なんか手の動きをこんな感じ(違う!と手を左右に振る)でしてたんで。笑
チャーリーとかにも、”手振ってる、いつも笑顔が綺麗で、、”とかって言われて、ちゃう、ちゃう、ちゃう、ちゃうって、ほんまにちゃうねんって!笑
人間が違うねんっていう、、笑
”ワールドジュニアで4位で”ってアナウンスされて、”俺、4位なんかとったことあったっけ?”と思いながら何かワーッてアクセル跳んで、”ジュニア上がりで今年初めてのグランプリ、、”。
絶対違うよな、絶対違うよなと思いながら”ジェイコブ・サンチェース!”
いや、ちゃう、ちゃう、ちゃう、ちゃうっていう。
それ、俺ちゃうっていう。笑
全然いいんですけどね、そこは本当に。
大会運営っていう、こっちのあれも大変でしょうし。
本当にそうなんですよね、僕も急にサブとして入ってるんで、まあまあそこら辺はいろいろ食い違いとかもあるでしょうし、仕方ないのかなって思いつつ、違うよーって。笑
別に見てる人たちも、多分あの、そこまで一生懸命コールを多分聞いてないでしょうから。
僕はいつも一応コールを聞いて、ピースとかできるように待機っていうか、してるんで。笑
フリーでは間違えずにコールしてくれて、ピースした後に、よし、よし、合ってるよって。笑
それが正解!って、うん。笑
・ショートの時はボーヤン選手への投げ込みがすごく多かったですね。
その後で滑るという経験は初めてでしたか?
全米でジェイソンの後に滑ったことが2回あったかな。
その時はもう本当にすごい緊張して、ジェイソンのこの流れを止めないようにしなきゃみたいに思ってたんですけど。
今回に関しては周りの人たちから、結構ボーヤンのあとはぬいぐるみがすごいよという話を聞いていましたし。
でもそれ以上に、多分、今の自分がなんというか、もう準備がとりあえずできている、その試合に向けて自分に何が必要かとかそういうのも全部わかった上で試合ができているので、滑る前にもちろん3Aをやったり、3Tをやったり、いろいろジャンプをするんですけど、極論、それがなくても、もう滑れるような気持ちではいます。
・全て拾い終わった子供たちに拍手を送っていましたね。
本当に一生懸命がんばってるなって感じたので。
子供たちも大変だと思うんで、あの量のぬいぐるみを拾うのは。
よくがんばったね、お疲れさまっていう気持ちでした。
・体の調子は今はすごくいいですか?
そうですね、怪我もなく。今年の初めに足首を捻ってしまって、2-3ヶ月オフにしてたんですけど、オフシーズンと重なったんでちょうどいいお休みになりました。
変な話、逆に捻ったせいで無理せずゆっくりできました。
怪我をした時期が良かったです。
・ショートの後は叫びましたね。その声が結構、響きました。
でも、フリーのときは叫びませんでした。控え目に拳を握る感じで。
ショートはそれこそ多少なりとも、ボーヤンの後っていうのも一応ありましたし、今年最初のグランプリってことでチャレンジャーとはまたちょっと違う緊張感があり、なんかこう、解放された感があったんです。
そうですね。終わって”やったー!”っていう気持ちになれたんでね。
フリーの後はどっちかっていうと、やっと終わったっていう。
あのー、開放感の違いですよね。
ショートはうわっーて溢れてくるものがあったんですけど、フリーに関しては、すうっーって、ふうーって。笑
曲の違いもあると思います。ショートの方が曲がアップテンポなんで、もうなんかその曲のままうわーって感じだったんすけど、フリーはもうなんか落ちていく感じの曲なんで、そのまま落ちていきましたね、テンションが。
・お衣装も2つともとても素敵ですね。
ありがとうございます。あれはもう本当に伊藤聡美さんのおかげです。
いつも作っていただいています。
ショートはキャシーがこんな感じで作ろうというイメージがあって。
普段だったら聡美さんに任せて、こんな感じの衣装を作って下さいとかでもなく、せいぜいなんかこんな色で考えてますとか、こんな感じでイメージしててとか、曲はこれですとか。
そうすると、いろんなアイディアを下さるんですけど、ショートに関してはもうキャシーの中でイメージが出来上がったので、そういうのもなく。
あの背中の羽はそれこそ、聡美さんのアイディアでいれてくれました。
ショートのFreeBirdっていう曲のタイトルの通りです。
本当にありがたいですね。すごくいいポジションに仕上がったと思います。
いつも素敵な衣装を作っていただき、感謝しています。
・ISUのサイトに樋渡選手の写真がないのはなぜですか?
僕が登録してないからです。なんか本当にすごいISUに申し訳ないのですが。
そのー、自分で結構エゴサしたりとかするんですけど、それを見るとなんかISUのせいになっていて。
ISUがんばれよみたいに書かれているのを見たんですが、ちゃうちゃう、僕が登録してないだけ。
いっつも、何か親にも、おかんにもずっと言われてるんですよね。
LINEとかで、”はよ写真載せろよ”って言われて。
はいはいはいはいはいはいはいはい言いながら、載せてないっていう。笑
・(中国杯のIDカードの写真を見ながら)この写真がありますよね?
多分。でもこれは自分で撮った写真じゃないんで自分のデーターにはないんですよね。
だからこれを自分でやらなきゃ。
自分で何か写真を送らないといけないんで、どうしよっかなっていう。
自分で撮るのも面倒くさいし、載せるのも面倒くさいっていう。笑
この写真をちょうだいって言ったらくれるとは思うんですが。
はい。もうなんか、はい。僕のせいです。笑
僕が本当にやってないだけですね。僕のだらしなさが原因なので。笑
・シーズンが終わるまでに登録をお願いします。笑
はい、がんばります。
・あとは山登り!木下カップの次の日にも登っていましたね。
そうですね、あれはどこだったかな。あの奈良の方の山で。
なんていうんだっけ、、お団子を好きっていうのもありますし団子がそこの名産で。
いろいろ撮った写真があるんですけど。結構こういう景色系を撮るのも好きなので。
トリアレティがもうこの時点で決まってたので、あのー、山も一応、やっぱ体力使うものなんで、いつ行くかとかも自分で考えて決めて行くようにはしてるんです。
トリアレティと木下カップ、今から、、って考えて。
いや来週とか行ったら絶対しんどい。明日行こう!っていう感じでしたね。
明日しかないなって。
・Instagramには鹿の写真もよく載せていますね。
春日山原始林に登った時も、鹿が結構いたのもあって写真を撮ったりとか。
奈良公園でたまーにですけど、行って鹿をただただ愛でに行くっていうこともあるので。
インスタへの投稿はだいぶ増えました。
昔は外に出ることが多くなくて、ゲームをするのがすごい好きでした。
でも最近、それこそゲームとかがあんまりなくなって外に出かけるようになりました。
何か載せれるものは載せとこうっていう感じですね。ストーリーって24時間で消えてくれるんで、手軽に乗せて、勝手に消えてくれるから楽だなって感じます。
・今回の出場はカムデン選手がWDし、急遽決まりました。
そうですね、でも、もう今回に関しては本当に元々はカムデンが来るはずの試合だったんで、そこに出させていただくっていう形にこうやってなって。
もちろん、カムデン自身も怪我は本意ではなかったでしょうし、僕もその代わりっていうのはあんまり、、そのカムデンにも申し訳ない気持ちはちょっとあるんですけど。
カムデンのいなくなった穴埋めみたいな感じで入ってるので、そこに関してはやっぱりカムデンも応援してくれたし、終わった後もメッセージをくれて”がんばったね”って言ってくれたし。
今はそばにいないですけど、カムデンは特に僕の中でやっぱり結構特別な存在なんで、いつも。
今回に関しては特にがんばらなきゃなっていう気持ちが大きかったんでがんばりました。
・樋渡選手のInstagramのプロフィール欄には”@campulk s my best friend”
と記載されていますが。
そうですね。あれはだいぶ昔に載せたというか、僕が本当にインスタに触れてないっていうのもあるんですけど。
カムデンが僕のインスタを適当にいじって、あれは彼が入れたんですよ。
カムデンが入れて、まあまあ別にいいやって思ってそのまま放置してて。
放置すること、もう何年も経って。なんかもう今更消すんもな、、っていう。笑
元々はカムデンの悪ふざけから始まったものだったんですけど。
今となっては、いっそ消して欲しいと本人は思ってるかも知れないですけど。笑
逆に僕も、もうあとに引けなくなってる感じはありますね。
他のスケーターは、ダニエル・オーシェとか、マックスとかアンドリューとか、チームUSAでこういう結果を出して、、とかプロフィールにいろいろ書いてたりするんですけど。
なんかもう、変えるんもなあーって。
自分のプロフィールの戦歴はそうですね、もうなんかいいかなっていう。
このまま残しておきます。笑
・今後の予定ですが、全米選手権の予選は免除になりますよね?
僕もそこら辺のルールがあんまり詳しくなかったんで、今年の初めに確認しました。
国際試合に3つ出たら、セクショナルは免除っていう形になるらしくて。
去年、四大陸が終わった時点でアメリカの連盟の方とお話して、それを確認したんです。
よし、来年はもう絶対bye取るぞって。
byeを取ってちゃんと、それこそ全米も最終グループに残りたいから、がんばってやるぞって思って。
初戦はクランベリーを入れてもらって、クランベリーの後の木下カップはセルフファンドです。
それに関しては一応自分で出るっていう感じです。
京都から近いんで、連盟にお金を払っていただく必要はなかったんで。
木下カップは良い結果を残せて、トリアレティに行くことも決まって、それが終わって、
だからこの3つで”うん、これでよし! byeか”って思ったら、木下カップの時点でGPカナダが決まったんですけど、トリアレティとカナダが決まった時に連盟の方から”良かったね、これでbyeだね”って言われました。笑
えっ, トリアレティが終わったらbyeじゃないのって、”あぶねっ”て思いながら。
でも今回結果的に中国杯とカナダ大会に出られることになったので、
まあ結局はbyeがとれたんですけど。笑
何か自分の知らぬところでワンチャン、またセクショナルをやらないといけなかったかも知れないっていう思いがあって、あっあっあっあっって、、、笑
・カナダ大会の後はゆっくり休めますね。
そうですね。1回、2ヶ月ぐらい全米まで期間があきます。
ちょっとゆっくりできるかなって思うんで、もう後は本当に残り一戦です。
とりあえず、今年はカナダで終わりです。
木下カップからトリアレティは一応2-3週間あったんかな。
でも、トリアレティから1週間あけて中国杯。
そしてカナダは来週なんで。もう、ほぼほぼ今週みたいなもんですよね。
カナダに関しては(体の)リカバリーとかもしっかりして、1回日本に1日帰ります。
月曜日、明日帰って、火曜日の間に針(鍼灸)とかに行って、ちょっと1日ゆっくり日本で過ごしてから、水曜日に移動して、水曜日にカナダに到着してって感じなんで、そっから何ができるか。
でも変な話、残すべきその結果、爪痕は今回しっかり残せたと思うんで。
カナダに関しては連戦だってことはみんなわかってくれてると思いますし。
もちろん別にそれで手を抜くとかはもちろんないんですけど、ここから、それこそまたもう一段楽しめるかなっていう気がします。
・樋渡選手が一番大変だとは思いますが、佐藤コーチもご多忙ですよね。
JGPや東西選手権や国内の試合にも行かれていますね。
本来は、今回は確か濱田先生が来るはずだったんですけど、腕がちょっと、、
骨折してしまったらしくて。
急遽、洸彬先生が来ることになりました。
でも洸彬先生はいつもよく試合に来ていただいて、僕も慣れてますし、多分洸彬先生との方が多いんで。 全然緊張もありませんし、一緒に来ることができて楽しかったです。
・公式練習日にはリンクのサイズ感がつかめなかった感じでしょうか。
ジャンプなど、壁にぶつかりそうなことがありました。
特に練習の時とかは、そうですね。
試合の時は壁をあんまり気にせずに滑ることができたんですけど、でもやっぱり練習の、当日の朝練もその前の公式練習、非公式練習もそうだったんですが、ここのリンクは多分、普段練習している木下のリンクよりも、どっちかっていうと横に広いんです。
縦がちょっと短い。ちょっと正方形に近いような形になっているリンクなんで、全体的にいろいろ位置調整をしながら、これはもうちょっとこっちだなとか言いながらやってましたね。
フリーのプログラムを公式練習日にやったんですけど、3Lz+1Eu+3Fでも、着地した瞬間、壁!みたいな感じだったんで。
リンクの大きさは1つ1つ違うんですけど、NHLサイズとかオリンピックサイズっていう、よくある大きさは結構慣れてるつもりなんですけど、多分ここはまたちょっと違うと思うんですよね。
だから、ちょっとだけ最初に慣れるまで時間がかかりましたけど、でもあんまり気にせず問題なく演技はできました。
・ショートもフリーも本当にいい演技でした。
ショートのレベルの取りこぼしをフリーで挽回しましたね。
そうですねショートに関してはもう、、、
ショートでレベルを全部落として。濱田先生からもメッセージで”スピン💢”みたいなマークがきたんで、どないしようかなと思って。笑
翌日のフリーの練習の時にジャンプは普通に練習して、最後にスピンしようかあっていう時に連盟の方が、僕が1回スピンするとタタタタタッて来て、”もうちょっとここをこうした方が、ちゃんとレベル取れるよ”って。
”わかりました、もう1回やりまーす”って。
また別のスピンをやった時に、またタタタタタッて来て。
”もっとこうした方がいいよ”って。
そしてまた新しいやつをやったら、タタタタタッて。
”まだもうちょっと、、もう少しここで伸ばそうか”とかって言いに来て。笑
信用ゼロやなと思いながら、まあしゃあないけどって、ショートボロボロやったからな、スピン。笑
ボロボロやったからしゃあないわと思いながら、もうでも、逆に今回は本当にもう周りが”お前しっかりせいよ”みたいな感じで、結構圧を感じたんで、スピンに関しては逆に結構集中できた気がします。笑
ありがたい事にサポート体制が強いです。 本当に周りの人たちがサポートや応援をしてくれて。
アメリカの連盟は、チームリーダーがジャッジテクニカルスペシャリストの経験をされている場合が多いです。
アメリカはジャッジやチームリーダーだけじゃなく、連盟自体から来るメディア対応の人もいます。
あとジャスティン・ディランという、連盟のトップなんかな。
多分、選手選びとかされる、そういう方なんですけど、ハイパフォーマンスディレクターです。ジャスティンはいろんな試合を見に来てくれます。
四大陸にもいましたし、そういう時にしっかり応援してくれる、応援してくれてちゃんとずっと見てくれる方です。
彼はどの選手も分け隔てなく、接してくれるありがたい存在です。
そして、キャロライン・シェルビー。
僕のスポーツ心理学をやってくれる方で、僕は試合前とかに緊張があったり、
クランベリーがあんまり良くなかったんで、木下カップに向かうアプローチとかを木下カップの前にお話させていただきました。
でもそれ以降は、お話する必要はないかなと思って会っていなくて。
今回は中国に来てくれてて、カナダにも来てくれるらしいんで、そうやって自分の知ってる人とか応援してくれる人が身近にいるとやりやすいですね。
・とても心強いですね。日本チームもそんなシステムがあるのでしょうかね。
日本は日本で、サポート体制、結構手厚いなと見てて思います。
今回僕、空港の移動が日本の連盟の方々と一緒だったんです。
向かうところは同じなんで、同じ飛行機に乗って来たんですけど、本当になんか日本の選手はみんなで一緒に動いて、修学旅行みたいで、本当に何か楽しそうだなって思いましたし、全部きっちりされていると思います。
サポート体制については、日本の連盟もすごくしっかりしてるなって思います。
逆にアメリカなんかそういう意味ではそこら辺はもうなんか勝手にしろよじゃないんですけど、飛行機とかも僕自身は日本ですし、他の選手も、アイスダンサーはカナダにいたり、
アメリカは結構広いんで、みんな、どっかで合流したりしなかったり。
現地でみんな、はい集まりましたみたいな感じです。
そういう意味では日本は集まりやすいっていうのもきっとあると思うんですけど、成田とか関空とか、日本ってここから行きますみたいな。
でもそういうの抜きにしても、そういう日本のサポート体制はそれはまたちょっと日本とアメリカとは別のものでありつつ、本当に手厚いなとは思うんで、そのことについて、いろんな国のいろんなサポートの仕方があるんだなっていうのは、今回特に感じました。
そして、帰りは別なんですが行きは普段一緒に練習している吉田陽菜ちゃんと一緒でした。
同じリンクから来てくれると話せる相手もいますし、空港でも結構一緒に行動してお話させていただきました。こっちにいる間も結構よくしてくれて、お話もいっぱいさせていただきましたし、接する機会も多かったです。
知り合いが1人でもいると、やっぱりありがたいですね。
(後書き)
この日のインタビューはエキシ前ということもあり、15分程度でお願いをしていましたが、 冒頭、”僕は時間は大丈夫です”と言って下さり、そのお言葉に甘え、ユーモアと笑いが溢れる会話は40分に及びました。
彼の声はいつも優しく穏やかで、誰からも愛されるであろう人柄と他者に自然に配慮できる器の大きさ、優しさ、頭の良さには、毎回頭が下がります。
様々なスケーターとお話しする機会をいただきますが、特に樋渡選手の姿勢や考え方は私自身、非常に勉強になります。
現在のところ、年内の予定試合は終了で、年明けすぐに全米選手権が開催されます。
今年の会場はセントルイス。
4年前はコロナ禍で、タイミング悪く罹患した樋渡選手は全米選手権に出場することができませんでした。
今シーズン、ここまで好調。オリンピック、世界選手権代表の座は手の届くところにあります。
その夢と目標を現実にする瞬間に、また取材させていただくことができれば、こんなに嬉しいことはありません。
皆さまには、3月にインタビューさせていただいた記事も合わせてお読みいただけると幸いです。
お疲れのところ、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
樋渡選手とアメリカスケート連盟に感謝致します。
※2025ー2026シーズン成績
・CSクランベリーカップ 9位 201.66
SP 69.45
FS 132.21
・CS木下グループカップ 3位 236.71
SP 83.62
FS 153.09
・CSトリアレティカップ 3位 237.11
SP 79.55
FS 157.56
・GP中国杯 4位 245.71(パーソナルベスト)
SP 79.07
FS 166.64(パーソナルベスト)
・GPスケートカナダ 9位 230.58
SP 84.32
FS 146.26
インタビュー&写真 : Kasumi Nabikawa





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