三原庸汰選手インタビュー
- Kasumi
- 18 時間前
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更新日:3 時間前

笑顔で取材に応じる三原選手
2025-2026シーズン最初のインタビューは、ノイエス金沢FSC所属の三原庸汰選手です。
高い身体能力を活かした演技で、ジュニア時代から「石川のジェイソン・ブラウン」という愛称でファンに親しまれ、その表現豊かな演技は「三原劇場」と呼ばれるなど、スケートファンから愛されています。
大学生となり、シニアデビュー戦となった7月末開催の「第15回名古屋市スケート競技会 みなとアクルス杯」。
漫画『メダリスト』の聖地でもある会場、邦和みなとスポーツ&カルチャーには、トップスケーターの五輪シーズン初戦を観ようと、早朝から多くのファンが詰めかけました。
全日本メダリストの鍵山優真選手、山本草太選手に続き、三原選手は第3位で試合を終え、Ice Traceの独占取材に応じてくれました。
Q. まずは、シニアデビューのシーズン初戦を第3位、表彰台という形で終えられましたが、今回の試合のご感想や現在のお気持ちをお聞かせいただけますか。
そうですね。まずショートが新しいプログラムで、試合で初めて滑ったので、上手にまとめられてよかったなっていうのがあります。
あとは、フリーとショートの合計点数が自己ベスト(注:162.51点)で、そこはよかったなと思います。
ただ、フリーに関しては、まだまだ失敗が多かったので、これから直していきたいなという感じです。課題も多く見つかった大会でした。
Q. フリーのプロトコルを拝見しましたが、課題がある中でこの得点を出せたことは、ご自身の自信につながったのではないでしょうか。
そうですね。
毎年シーズン序盤は立ち上がりが悪く、ズタボロなので今年は結構出せたなと言うのが正直な感想です。
点数の取りこぼしも多く、伸び代しかないと思って、さらに練習を頑張っていきたいなと思います。
Q. 今回の試合にご来場くださった方々はもちろんですが、SNSなどを拝見しますと三原選手はファンが多く、もっとどのような選手なのか知りたいという声も多いようです。
本日は三原選手ご自身についてや、シニアデビューシーズンのこと、「フレンズオンアイス」などアイスショーについてもお話を伺えたらと思っております。
まずは基本的な質問からさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
初心者なので、よろしくお願いします(笑)。
Q. まず、スケートを始められたきっかけを教えていただけますか。
本格的にクラブに入って始めたのは、10歳ぐらいです。
それまではお教室みたいな感じのところで、遊んでいたというか、ちょっと楽しくやってましたね、はい。
最初に、自分が小学1年生くらいの時かな、それまでもうちは結構フィギュアスケートを見る家だったんですが、ソチオリンピックで羽生結弦選手の演技とかを観て、あ、ちょっとやってみたいなって思ったのと、母からの勧めもあってスケートを始めました。
Q. 最初はシチズン(注:シチズンプラザ、2021年閉鎖)で始められたと伺いました。
クラブに入られたのもシチズンで、その後どこかのタイミングで金沢に移られたのでしょうか。
始めたのはシチズンですね。多分6年生になるシーズンに金沢に来ました。
5年生まではシチズンクラブに所属していました。
今はもうなくなっちゃったんですけど…。
Q. どなたにご指導いただいていたのですか。
湯澤綾人先生です。
Q. 金沢に移られてからは、ずっと高山美由季コーチにご指導いただいているのですか。
はい、高山先生です。
Q. 高山コーチはどのようなコーチですか。
どんなコーチ?わかんない、なんだろう。先生は先生だからなあ。
たぶん、結構話し合いとかを大事にする先生だと思います。
Q. 試合の後なども、反省会などを行われるのでしょうか。
そうですね、帰りの車の中で「ここはよくなかったね」「あれはこうしよう」みたいな感じの話をしますね。
あと試合後のキスクラでは「ここがよくなかった」「あれがよくなかった」みたいなのですね。あ、自分がしゃべってるのか(笑)。
Q. 高山コーチには振り付けもしていただいていると思うのですが、特徴的な振り付けが多い印象があります。
そうですか(笑)。はい、確かにそうかもしれないですね。
たまにすごいむちゃぶりされるので(笑)、うわぁ、これ今回できるかなって思いながら毎回やってます。意外と大丈夫だったりしますね、はい。
スピンから始まるのは確かに特徴的ですね。
Q. 先ほど、鍵山優真選手にスピンを絶賛されていましたよね。
「配信で見ました」とおっしゃっていました。
スピンが上手とか、表現とかいいなぁって思っていたみたいなことを言っていただいて。
嬉しすぎて、すごい、うわーってなりました。
(注:このインタビューの前に鍵山選手とツーショットを撮影した際の会話)
Q. ご自身が好きなエレメンツやジャンプはございますか。
好きなエレメンツ…そうですねぇ…エレメンツか、なんだろうなぁ。
あんまり考えてやってないですね。
ただまあ、しいて言えばフライングシットとかですかね。
スピンだったらフライングシットですね。
ジャンプだったらサルコウかな?
両方ともまあ失敗しますけど、割と何も考えずに跳べたりできたりするので。
まあ、今日失敗しましたけど、両方(苦笑)。
あんまり失敗しないやつが好きですね。できたら気持ちいいので。
Q. 鍵山選手も認める表現力についてですが、何か表現につながるような習い事をされていたり、踊ることが好きだったなど、きっかけはございますか。
あんまりダンスとか習わなかったんですよね。
2、3ヶ月でお試しとかやったことはあったんですけど、全然やってなくて。
Q. それは、天性のものなのでしょうか。
いやー、天性なんですかね。いや、天性じゃないと思います。
特に習い事とかやってなかったので。
演技に関しては、結構映画とかを見て、映画を見た後に自分の中で、この役の時にはどう考えていたのかなとか、この動きの意味ってなんなんだろう?みたいなことを考えて、演技の方向性を作るみたいなことはしています。
Q. いつも素敵なお衣装ですが、衣装はどなたが作られているのですか。
デザインは美由季先生にお願いして、デコレーションやこのキラキラとかは先生ですね。
型を起こして縫ってもらうのは先生のおばさまにやっていただいてます。
確か「マイケル・ジャクソン」(注:2021-2022シーズンのフリープログラム)、「美女と野獣」(注:2021-2022シーズンのショートプログラム)のシーズンからですね。
中3シーズンぐらいからお願いしています。
だから一つ前の「オペラ座の怪人」(注:2022-2023,2023-2024シーズンのフリープログラム)の時も、「ウエスト・サイド・ストーリー」(注:2022-2023, 2023-2024シーズンのショートプログラム)の時も、「義経」(注:2024-2025シーズンのショートプログラム)の時もお願いしました。
Q. 憧れの選手や目標にされている選手はいらっしゃいますか。
そうですね。憧れの選手はやっぱり羽生結弦さんです。
ずっと小さい頃から第一線で、第一線どころか一番上でずっと戦ってきていたような方なので、すごい憧れっていうのかな、わあ、すごいなあなって思いながら、こういう選手になりたいなってスケートを始めました。
なんて言えばいいのかな、やっぱりジャンプも綺麗ですし、スケートも綺麗ですし、あと音をすごくよく表現されていて。
人間の体でこんなに音を表現できるんだっていうぐらい、細かい音や余韻を全身で表現されているので、そういうところが本当にすごいなと思います。
Q. 現役の選手ではいかがでしょうか。
そうですね。本当に皆さん素晴らしくて。
しいて言えば、やっぱりジェイソン・ブラウン選手や、鍵山選手です。
本当にいつも、こんな滑りができる選手になりたいなとか、このジャンプが跳べる選手になりたいなって思いながら練習しています。
<シニアデビューシーズンについて>
Q. いよいよその鍵山選手や、ジェイソン・ブラウン選手がいらっしゃるシニアに挑戦されることになりますが、まだジュニアでも出場できる年齢だと思います。
今シーズンからシニアに移行しようと思われた理由を教えていただけますか。
そうですね。
普段、週1−2回しか貸切練習がなくてジュニアとシニアの両方のプログラムを練習することが難しかったので、ずっと前から大学生になった時にはシニアに行こうって感じで。
その流れのままシニアに移った感じです。
Q. シーズンが始まったばかりですが、ジュニアとの違いを感じる点はございますか。
シニアの選手は、表現が洗練された選手が多い印象ですね。
近くで見た鍵山選手や山本草太選手もそう感じました。
自分ももっと練習しなければいけないなと強く思いました。
あと、4分のプログラムが結構キツイです。
Q. 今回フリーで鍵山選手、山本選手と一緒に氷に乗ってみて、いかがでしたか。
フフフ、正直に言うと、とてもテンションが上がっていましたね。
目の前でジャンプを跳んだら、「おお、すごい!」みたいな、、
顔に出ていたかもしれないですね。「うわー、すごい跳んでる!」みたいな、、
なんか、はい、ファンみたいな気持ちで見てきました(笑)。
緊張どころじゃなくて、なんだろう、集中はちゃんとしてたんですけど、緊張も吹き飛ぶぐらい楽しくなりました。
試合前はちゃんと緊張しました。自分の滑る前には緊張が帰ってきたので。
Q. ショートが終わった時点で3位、このままいけば、2人と一緒に表彰台に乗ることになり、それが余計に緊張につながったということはありましたか。
確かにちょっと一瞬思ったんですけど、それを考えすぎたら多分、めちゃくちゃ緊張して、ちょっとやばいことになるだろうなと思ったので忘れました。忘れるようにしていました。
Q. 先ほど実際に2人と一緒に表彰台に乗って、たくさんカメラのフラッシュを浴びてみて、いかがでしたか。
びっくりしました。あんな長い時間、台に乗っていることがあるんだ、みたいな感じですよね。だから先に帰ろうとしてましたもんね(笑)。
もう終わりだよ、来てって言われたから降りようとしたんですけど、なんか、はい、呼び止められました。あまり慣れてなかったので。
Q. シニアになったことで、チャレンジしたいことや、今後頑張っていこうと思っていることはございますか。
そうですね、シニアの選手ってすごく洗練されたスケーティングだとか、動きだとかをする選手がとても多いと思っています。
世界の選手も合わせてなんですけど。
まだ自分には足りないので、今回いろいろ勉強になりました。
スケーティングの滑らかさとか、伸びるときの姿勢だとか、そういうところを練習していきたいです。
Q. 今シーズンのプログラムについて、ショートは「Epilogue」(レ・ミゼラブル)、フリーは「Pirates of the Caribbean」を継続されるとのことですが、ショートでこのレ・ミゼラブルを選ばれた理由を教えていただけますか。
ずっと前からレ・ミゼラブルの曲を使いたかったんですよね。
で、ずっとダメってコーチに言われていたんですけど、今回はシニアに上がるということなので、ショートをまず変えようかっていう話になり、曲を探していました。
ずっと使いたかったので「これ使いたいです!」って言い、いろいろ悩んだ末に使うことになりました。7年越しですね。
Q. シニアデビューシーズンの目標をお聞かせください。
目標はやっぱり全日本選手権に行くことです。
まずは中部、西日本、全日本ですね。
中部も西日本も大変な戦いになると思います。特に西日本が。いや両方ですね。
両方ともすごい厳しいものになると思うので、なんとか乗り越えて行きたいです。
Q. 大学の学業との両立はいかがですか。
今のところできていると思います。しっかりと通学してます。
スポーツ科学を勉強しています。
Q. 今後、インカレにも出場されるご予定はございますか。
スケート部がなかった状態だったので、今ちょうど登録の申請をしている最中です。
<アイスショーへの出演について>
Q. 昨年「フレンズオンアイス」に出演されていましたが、「Get the Chance」に応募されたきっかけを教えていただけますか。
こういうものがあるよって教えてくださった方がいて、あ、じゃあ、ちょっと試しにやってみようか、まあ選ばれないだろうけどね、ははは~みたいな感じでやったら、選ばれて夢かと思いました。
何回かちょっと頬をパシパシってやったんですけど、夢じゃなかったです。
逆に慌てましたね、えっ、本当に選ばれちゃった、みたいな。びっくりしました。
とても嬉しかったです。
Q. 実際にトップスケーターやレジェンドスケーターの方々と一緒にアイスショーに出演されて、何公演もご経験されましたが、どのようなことを得られましたか。
やっぱりトップとか、そういうレジェンドの方々は何だろう、空間を動かしているような、なんだろうな、なんか自分だけじゃなくて、空気もコントロールしているような、そんなふうに感じました。
どれだけ練習を積んだんだろうと。
そういうところも、生で見ていなくて映像でしか見たことないんですけど、現役の時より迫力が増しているように感じました。
今も成長を続けている。すごいと感じました。
だから自分もそうやって、自分の体だけじゃなく、その周りの空間もコントロールしたり、動かしたりできるようになりたいなって思って練習しています。
Q. アイスショーには、また機会があれば出演されたいとお考えですか。
出たいですね、出たいです。
Q. 金沢で「能登半島復興支援チャリティー演技会」があったかと思いますが、その際、憧れの羽生さんの演技を間近でご覧になったご感想を教えていただけますか。
実は演技会を直接見ることはできなかったのですが、スケート教室をお手伝いさせていただいたり、一緒に滑ってくれたりしました。
Q. その際、地元のスケーターの方々に羽生さんがいろいろアドバイスをされたという報道も拝見しましたが、どのようなアドバイスを受けられたのでしょうか。
そうですね。一番印象に残ってるのは体の使い方です。
体の使い方に関しての練習の仕方みたいなものを教えていただきました。
スケーティングもそうですが、滑りながら体を動かす時のやり方みたいなものとか、他にもいろいろあるんですけど、それが一番印象に残りました。
Q. 実際に憧れのスケーターからアドバイスを受けて、練習などに活かされていると感じますか。
活きてます!活きてます!!
Q. その時もテンションが上がったご様子だったのでしょうか。
テンションが上がるというよりかは、うーん、なんだろう、今ここにいるその1秒1秒を大事にしようと思いながら氷の上に立っていました。テンションが上がって浮ついていたら、なんか一瞬で時って去っちゃうので、1秒1秒をしっかりかみしめるように立っていました。
立っているっていうか聞いていました。
Q. 最後に、ファンの方々へ、ご自身の演技で「ここを見てほしい」というポイントやメッセージがありましたら教えてください。
何を見てほしいんだろう。えっとそうですね、えっと、そうですね、、
結構細かいところとかも気をつけたいって思っていて。
顔の角度とか指の手の腕の角度とか、ショートは今、それを調整中なんですけど。
そういうところを注目していただければ、より楽しくプログラムを見ていただけるかと思います。
今シーズンも一生懸命頑張ります。
応援よろしくお願いします。
(あとがき)
インタビューには高山コーチも同席してくださり、お二人の信頼関係が感じられるやり取りが随所に見られました。
試合の際のヘアセットや髪につけるチャームも、先生の手作りとのことです。
「インタビューには慣れていないんです」と、緊張気味にはにかみながらも、演技のポーズをお願いすると、瞬時に顔つきが変わり役になりきる、その変化には驚かされました。
「演技を観た後に、実際に映画も見てみたいなと思ってもらえるような演技がしたい」と語ってくださった三原選手。
これから本格的に始まるシニアデビューシーズンが、ますます楽しみです。
※試合、表彰式、インタビュー時の写真はポートフォリオに掲載しています。
ぜひ、ご覧下さい。
写真&文章 : Ayaka Okumura